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2016年5月19日 (木)

窮寇には迫ることなかれ

 好況とは、たとえるなら「追い風が吹いている」環境です。そこでは、仕事も人生も、風に乗ってうまくいくことが多い。しかしその成功はあくまで「追い風参考記録」のようなもので、本人の実力に加えて「運」の要素が加わっていることが多いように思います。
 好況を生きてきた我々の世代は、自分の実力と運を見極めて「過信」しないように気をつけるべきであるし、また、若い世代には上手くいかないことを「自分のせいにしすぎない」よう、伝えてあげないといけません。

 批判を承知で書きますと、今の日本で最も「運が良い」生き方をしているのは、「大組織の正社員として働く男性」であろうと思います。
 とくに我々の50歳前後の世代は、てきとうに就職活動して会社に入ってしまえば、あとは自然に出世して給料が上がっていく「追い風」にありました。...
 それに引き替え、今の就活世代のかわいそうなことと言ったらありません。また、男性中心の職場において女性たちが不利な環境に置かれていることも事実だと思います。おそらく優秀な女性たちからすれば、「働かないのに給料の高いオッサン」はなんとも腹立たしい存在ではないかと。
 ・・・そんな仮説をもとに、昨日の女性孫子勉強会では、「逆風・不況時代のふるまい」についてお話ししました。

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 数年前、アジア進出する会社のお手伝いをしていた頃、現地の方と仕事する上で「相手の面子(メンツ)を潰さないこと」に留意するよう、アドバイスを受けました。
 これはかなり適確なアドバイスでした。某大陸系の皆さんを筆頭に、アジアの皆さんは「面子を潰される」ことについてかなり敏感であり、その面子のありかを常に観察しないとうまく仕事が進みません。

 しかしこれは別に相手がどこの国の人だろうが、男だろうが女だろうが、年寄りだろうが若かろうが変わらない話でありまして、「相手の面子をつぶさない」ことは人間関係においてとても重要なことです。

 さてここで、「働かないのに給料の高いオジさん」に不満を溜めている日本の優秀な女性たち。彼女たちに「あなたがたは、職場の男性(あるいは夫)の面子を潰すまでやりこめていませんか?」と訊いてみたのです。
 すると、出るわ、出るわ(笑)。やりすぎて会議を外されたり、グーパンチで殴られたり(なんと実話!)。

 孫子の兵法にいわく、「囲師(いし)には必ず闕(か)き、窮寇(きゅうこう)には迫ること勿(なか )れ」。敵を包囲したら必ず逃げ道を開け、窮地に追いこんだ敵に攻撃を仕掛けてはいけないという教えです。自らの理屈や正義感、あるいは自分の美意識を振りかざして、相手を追い詰めすぎてはいけません。
 私の経験上、日本女性は限界まで「おしとやかに我慢」する人が多いのですが、最後の最後、感情的に爆発したときの破壊力は世界でも随一です(?)。「もうちょっとうまくやりましょうよ」というわけで、非常に教訓にとんだ勉強会でした。
 私自身、かなり相手をやりこめてしまう性格なので、人生の後半戦、「窮寇には迫ることなかれ」は肝に銘じています。「相手の面子を潰すまで追い詰めないこと」、男も女も、老いも若きも、気をつけましょうね。