さてJALの女性と話していると、ほどなく「あ~、田中さーん、いらっしゃ~い」
と、信じられない緊張感のなさでツアー企画者M氏がロビーに登場。
さあ、役者が揃ってきた。
真実が明かされるときが刻々と近づいている。
いったい何がどうなっているというのか?
私の酔いもいっぺんに醒め、体中に緊張感が走る。
ここで、すべてが明かされる衝撃の一言。
「田中さんを除く全員、フランクフルトで乗継便に乗り遅れたらしいです」
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なんとフランクフルト空港ではぐれた私を除く「講師+参加者」の全員が一丸となって、乗り遅れていたというのだ。
しかも乗り遅れたうえ、そのあとの便にも乗れないかもしれないという事態に陥り、フランクフルト空港で立ち往生。
私が飲んでいるあいだじゅう、本人たちとJALの現地関係者の皆さんは大騒ぎ、対応に大わらわという状況になっていた。
そんな大騒動の中、一人「正しく乗り継いだ」私のことはすっかり忘れ去られてしまったらしい。
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利口というのはバカの反対概念である。
利口が利口として成立するのは、バカあってのことなのである。
バカが一人もいないで利口だけになってしまうと、利口なはずの集団は壮大なバカになってしまうことがある。(社会保険庁を見よ)
おそらくフランクフルトで一団となって行動した一行は、その全員が講師を含む利口な集団だっただけに油断が生じてしまったのか。
あのJALがうしろに付いているという安心感も手伝って
「誰かがなんとかしてくれる」
「おかしなことが起こるはずはない」
という思いで一杯だったのだろう。
まるで日本大企業の縮図をそこに見る思いだった。
一方、はぐれてしまった野良犬な私は、ひとりだからこそ身を守るために正しい道を選ぶことができた。
なんという皮肉。
しかも乗り遅れた彼らには感動のストーリーとウィーン空港への迎えが付き、私には自腹のタクシー代とビール代の負担が残った。
日本で少数を生きるものは、こうした孤独に耐えていかねばならない運命にある。
タクシー代40ユーロ、ビール代30ユーロ、ウィーンでの孤独、プライスレス。
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さて、ホテルのロビー。
深夜になって一行が到着。手ぶらで本人たちのみ。荷物無し。
予定便に乗り遅れたため、フランクフルト空港で荷物が取り上げられたらしい。
(近年テロ対策のためチェックが厳しい)。
ここに到着するのにそれはそれは大変な思いをしたとのこと。
ギリギリでJALの関係者Oさんに助けられるという感動のストーリーだったらしい。
ロビーで感動を分かち合う仲間たちを、その輪からすこし離れて私は見ていた。
※参考までに、乗り遅れた人々の状況についてはこちらをご覧ください
参加者「多夢郎」さんのブログ → こちら
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騒動の翌日、ヒルトン・ドナウ・ホテル最上階。
ドナウ川そしてウィーン市街が見渡せるという、これ以上ない会議室。
昨日の興奮醒めやらないメンバーたち。感動と一体感に包まれた素晴らしい講演会がはじまった。
私の出番。講演開始。冒頭に一言。
「みんな、いいかげんにしてくださいよ。
飛行機ぐらい、ちゃんと乗りましょうよ。大人なんだから!」
<完>