「他はどうやっているのでしょうか?」
会計士になってからちょうど20年になる。
人間田中としてではなく、会計士田中として最も多く聞かれた質問がこれである。
「他はどうやっているのでしょうか?」
細かい会計処理であれ、経営指標の決定であれ、はたまた経営の方向性であれ、日本の会社というのはとにかく「よその動向」を気にする。よって会計士としては物知りでなければならない。会計士や弁護士という商売はモノを売っているわけではない。情報を売る商売だ。他の動向を気にするお客さんのニーズを満たすためには、「多くの会社はこうやっているんですよ」という情報を仕入れておかねばならない。
だから「デキる会計士」は勉強を怠らない。いろんな本を読みセミナーに出向く。でも個人としての情報収集には限界がある。だから「デキる会計士」は人脈を大切にする。そして自分だけで太刀打ちできない課題に関しては人脈の力を借りて乗り切ろうとする。でもいつも人を頼ってばかりにはいかないから、なんとか彼に提供できるネタを探す。そして「デキる会計士」は「give&take」や「win-win」という言葉をよく口にする。
私もそんな「デキる会計士」への道を努力して歩んできた。いまでもお客さんのニーズがそこにある限り、そんな努力を止めるわけにはいかない。
でも正直、人間田中としては少々疲れてきた。だって「他はどうやっているのでしょうか」に答えるためには、多数的・一般的・社会的な「メジャーな意見」を常に知っておかねばならないからだ。まず朝起きて日経と朝日を読み、本屋に行けばベストセラーを探す。そしてテレビでは流行のお笑い芸人のチェックを怠らず、夜には「ちょいワル」な大人が知っておきたい飲み屋に出向く。
だんだんこんな人生がつまらなくなってきた。たとえそれでお客さんに喜ばれても、おカネを稼げても、そして女の子にモテても、どう考えてもこれが「カッコイイ」生き方とは思えなくなってきたのだ。世の中のメジャー情報のほとんどは「カス」である。カス、つまり安直で軽薄で非感情的なモノしか現代ではウケないのだ。私はそうしたモノが嫌いだ。イヤなものは誰が何と言おうとイヤなのだ。
そんなわけで来年の目標。とりあえず自分の中で日経とベストセラーと有名な飲食店を捨てること。これを自分のテーマにしよう。そしてこれまで忙しくて見えなかったことに目を向け、そして聞かなかったことに耳を傾けてみよう。だれもが見ていないものを心の眼で見てみよう。そこから私のB-side、これからの新たな人生がはじまる。
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コメント
有名な飲食店は捨ててますが、日経捨てるのは少々厳しいですね。社員にもヤフーニュースではだめだ、日経ぐらい読めといってますから。
投稿: yasuo | 2005年11月 22日 12:38